人々の生活圏を舞台にした健全な地域社会づくりに貢献する薬局、コミュニティファーマシーを創造する
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-3 望月ビル3F
TEL:03-3354-0288  FAX:03-3350-0735

■ イギリスのLloyds に勤務の薬剤師鎌田絵莉子氏より新型コロナウイルスに対応する薬局の状況報告

 

アッセンハイマー慶子氏からのドイツの薬局の状況報告を見て、イギリスの薬局にお勤めの絵莉子さんからも報告がきました。
イギリスがロックダウンする前の薬局の状況からロックダウンした後の現在の薬局の状況を伝えてくれています。日本でもロックダウンしなければならないかもという思いで準備を始めてください。日本の薬局はまだ危機感がないように思います。
ガウンは日本でも手に入らないのですが、使い捨てのレインコートを利用するなども見られます。

 


 

イギリスでは2月下旬から新型コロナウイルスの影響が生活に出るようになりました。最初の頃は「新型コロナウイルスの影響のある国に旅行に行き、症状が現れた者、またはその者と接触のあった者」は自主隔離するように言われていたのですが、3月第2週目には新型コロナウイルスの影響のある国に行っていなくても「新型コロナウイルス様症状が出始めた者」であれば自主隔離するようにとなっていました。そしてこの週には「70歳以上の高齢者の隔離」の噂が出ていてスーパーマーケットでの買占めが見られるようになりました。薬局業務への影響もこの頃から出始めました。

 

70歳以上の高齢者の隔離が3月第3週に始まり、学校も第4週目には閉鎖になりました。これに伴い、在宅業務ができるものは職場に行かないように、キーワーカー(医療関係者やそれをサポートする産業に関わる者、スーパーマーケットなど生活必需品の流通残業に関わる従業員)や在宅勤務が不可能な者のみ通勤が許されるようになりました。

医療機関から普段の何倍もの電子処方箋が送られてきたために卸からの配達が追いつかず、大量の欠品が続きました。「私のお薬はまだなの?!」と言う電話が殺到し、怒った患者さんが罵詈雑言を薬局スタッフに吐いたり、咳をしているのに至近距離でスタッフに詰め寄る患者さんもいました。毎日が世紀末のように忙しく、年末年始の忙しさは「忙しい」うちに入らないと思えるようになりました。

お客様からひっきりなしにかかってくる電話(除菌ジェル、ハンドソープ、カロナール、マスク、体温計の在庫の確認)とOTCの販売に追われ、調剤に専念できない状況が続きました。イギリスではマスクは科学的根拠がないとして、マスクの着用は奨励されていないので、もともと薬局で販売していないのですが、それでもマスクへの問い合わせが後を立ちませんでした。薬の不足も続き、カロナールやSSRIなどが不足しました。OTCでもヒドロコルチゾンクリーム、アスピリン75mg錠などの不足が続きました。

 

3月上旬にはPPEキット(使い捨て手袋、エプロン、マスクのセット)が「新型コロナウイルス陽性患者とその近親者への対応時用」に送られてきたのですが、通常常業務に十分なPPEの支給はありませんでした。分け合って使っていたスタッフの私物のハンドジェル・ソープも底が見えてきました。社用の薬剤師のグループチャットにも心身共に疲れ切った者同士の書き込みが見られるようになりました。

 

そして3月第4週目、これに応えたLloyds本部から全国的な開局時間の変更指令が届きました。私の務める支店の開局時間は通常であれば7:00〜23:00なのですが、7:30〜20:00に変わりました。そして、従業員がストレスを感じることなくOTCや調剤室の薬の陳列ができるように商品が配達される9:00〜10:00は一時的に閉局、昼食をきちんと取れるように13:00〜14:00に一時閉局、19:00〜20:00も閉局してその日の書類の処理や店内の清掃などに集中出来るように配慮された業務形態に変わりました。少しずつ通常業務時着装用のPPEや除菌ジェル、清掃用品も支給されるようになりました。PPEの着用は義務ではないのですが、今では自分自身の安全の確保とまだPPEに抵抗のある(イギリスにはマスク着用の文化がないので)スタッフの手本となるようにできるだけ常に着用しています。

 

4月になるとレジ周りのプラスチックの囲いが届きました。2メートルの距離を患者さま同士が取れるように、1度に薬局に入れる人数の制限などをしています。

 

現在、総合病院は開いていますが家庭医の診療所は閉まっており、電話をかけると「コロナ症状の対応はNHS 111の情報サイトにアクセスするように」との録音メッセージが流れ、それ以外の症状は電話による問診がなされ、電子処方箋がかかりつけ薬局に送られます。

 

4月中旬の週末は本来ならイースターの連休で閉局する薬局が多いはずなのですが、救急外来がセルフメディケーションでなんとかできるはずの患者さんの殺到でパンクしないように、開局するようにNHS(National Health Service:国民保険サービス)から依頼が来ました。

簡単に家庭医にアクセスできないために、いつもより多くの患者さんが薬局を利用するようになりました。このように薬局はロックダウンされた社会の中で重要な役割を果たしています。でもスタッフあっての薬局です。スタッフが病気になったり、精神的に参ってしまい仕事に来なくなったりすると薬局の経営が成り立たなくなってしまいます。この異常な状況下でいかに従業員が安全に勤務できる環境づくりをするかは薬局にとって、とても重要な課題です。

 

外出制限が出た国の薬局はこんな感じです。どうか皆さんもご自分の体調に気をつけながら頑張ってください

© 2014 Japanese Association for Community Pharmacy , All right reserved