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■ 2020年4月15日ドイツの通訳ガイド中村典子氏からハイデルベルク市民の近況報告

 

今年はドイツ・日本双方ともに新型コロナウイルス感染拡大により、ドイツ薬学視察旅行が中止になりました。2003年から17年間いつもツアーに帯同していただいている通訳ガイドの中村典子さんから現在のハイデルベルクの状況が届きました。

 


 

新型コロナ感染防止に対する条例と規制下でのハイデルベルクの近況

 

ドイツは「州(Land)」毎に政府が置かれる連邦国家制で、新型コロナ感染防止に関する条例も「連邦(Bund)」の政令に準ずることを前提に州毎に出されます。大筋では同じですが、学校の休校期間、罰金規定などは州毎に差があり、また条例は状況に合わせて変更と追加を繰り返しています。

 

ハイデルベルクが属するバーデン・ヴュルテンベルク州の条例の要旨(青字はコメント

・学校は3月12日から復活祭の休暇が終わる4月19日まで休校。

この期間については延長される可能性があります。

 

・開けてよい商店は、食料品・飲料品販売店、朝市、宅配サービス、薬局、衛生・医療関連用品店、ドラッグストア(ドイツ語でDrogerieと呼ばれる薬の販売ができない生活用品店)、ガソリンスタンド、銀行、郵便局、クリーニング店、コインランドリー、新聞販売店、卸売店、ホームセンター、動物関連用品店。

最初に条例が出た時は理髪店や美容サロンは開けてよい職種に入っていましたが、身体のケアに関わるサービス業は近距離での身体の接触を避けられないという理由でマッサージ店、ネイルサロン等とともに営業できなくなりました。

 

・飲食店は最初「テーブル間の距離が最低1.5メートル離れている」という条件で営業可能でしたが、これも変更でまず「午後6時までの営業」に短縮され、さらにその後「すべての飲食店は閉鎖(但し,宅配,持ち帰りは例外)」ということになりました。

道路が空いているせいもあるのか、出前の車が目立つようになりました。

 

・各種施設は閉鎖場所が次第に増えていき、現在では劇場や美術館などの文化施設、各種教育施設(研究所,習い事施設,市民大学等)、映画館、スイミングプール、公衆浴場、サウナ、フィットネススタジオ、ダンススクール、スポーツ施設、青少年センター、図書館、ゲームセンター、風俗施設、バー、クラブ、ディスコ、居酒屋、メッセ会場、動物園、遊園地、専門マーケット、アウトレットセンター、児童公園やスポーツ広場、キャンプ場が閉鎖となっています。

 

・病院、リハビリ施設、透析施設,診療所への訪問は原則禁止です。病人が子供や危篤者の場合は見舞いが許されます。高齢者施設,介護施設および障害者施設の訪問には施設長の許可が必要になります。

 

・イベントを開催すること、団体の会合、教育施設における活動は禁止。

 

・教会、モスク、シナゴーク、その他の宗教施設での会合や信者を集めてのミサは禁止。

キリスト教で特に重要な復活祭のミサ(今年は4月12日)はプロテスタントの聖霊教会もカトリックのイエズス会教会も信者なしで行い、インターネットで配信しました。教会は通常の時間帯で門戸を開けることは認められているので、個人で祈りに行くことはできます。

 

・最初に出された条例では結婚式、葬式、洗礼式といった家族や友人が集うイベントは参加者100名以上のものは禁止、100名未満のものは担当機関の許可が必要ということでしたが、これはすぐに変更され、全面禁止となりました。

ドイツでは法律上の婚姻は市役所戸籍課の特別な部屋で家族や友人の参加のもとで、新郎新婦が戸籍課の担当官の問いに答える形で行われます。現在市役所の窓口は閉鎖中ですが、婚姻の手続きは予定の日取りで執り行うことができます。但し家族と友人の同席は認められません。

 

・公共の場での行動について、最初は外出は3人までが行動を共にすることが認められていましたが、変更で2人になりました。例外として、同居している直系家族にはこの人数制限はありません。

 

・公共の場では,他人と1.5メートルの距離をとることが追加されました。のちに、できれば2mと付け加わりました。

それ以来、スーパーマーケット等では、レジの前の床に1.5m間隔でテープが貼られています。この間隔を守るために入店の人数制限も行われています。客全てに備え付けの買い物カゴかカートを使用してもらい、その数で人数制限をしている店舗もあります。時間帯によって、スーパーの前で行列ができますが、これも1.5mの間隔を空けて待っています。大抵の薬局は狭いので、常に外に列が見られます。

 

・外に出る理由は、通勤、緊急時ケア(託児、高齢者介護等)、買い物、通院、他者への支援、単身で行えるスポーツ(ジョギングやサイクリング等)、屋外での新鮮な空気を吸うための運動やその他必要な活動のための外出ということになり、これも間隔を1.5m空ける必要があります。

皮肉なことに、外出制限になった頃から高温で好天気の日が続いています。ドイツ人は日光浴が大好きなので、普通なら人でいっぱいになるネッカー川河畔の芝生は立ち入り禁止で、警察が常時巡回しています。

 

・条例の4回目の変更で、歯科医院は緊急の患者のみの対応となりました。

ちなみに感染者と隔離中の非感染者の歯科治療は大学病院の歯科部門か口腔外科を持つ病院でのみ可能だそうです。

 

 

 

次に新型コロナがもたらした社会現象をいくつかご紹介します。

コロナパーティ

学校が休校となり、飲食店が閉鎖された最初の頃にドイツ各地で「コロナパーティ」と称する集まりが開かれました。ハイデルベルクも例外ではありませんでした。青少年中心に、自分たちは感染しても大丈夫という間違った認識、行かないと仲間はずれにされる/臆病者とみなされるという迎合、さらには早く保菌者になってしまえば感染しない努力をしなくて済むといったなんとも短絡的な考えが手伝ってドイツ各地で見られる現象となりました。当然警察の取り締まりも強化され、パトカーや警察官の巡回は頻度を増し、罰金規定も発表されました。公共スペース以外の場(すなわち個人の住居や庭など)で5名以上が集まった場合、一人当たり250〜1000ユーロの罰金、公共スペース(すなわち路上など)で3人以上が行動を共にすると、一人当たり100〜1000ユーロの罰金となります。コロナパーティはこれでほぼ収まりました。家の中で友人が静かに集っていてもわからないと思われるかもしれませんが、ドイツ人というのは結構他人が何をしているか気になる人達で、また逆に他人が自分のことを見ていることもわかっている人達です。これほど高額な罰金を払う危険は犯しません。

 

 

ハムスターになった人々

ハムスターという動物は食料を溜め込む習性があるそうで、外出制限が発表された最初の頃、「ハムスター買い(Hamsterkauf)」と呼ばれるまとめ買いが起こり、商店の棚からトイレットペーパー、キッチンペーパー、消毒薬、ロングライフミルク、小麦粉、酵母、パスタといった商品が消えました。現在ではそれらも出回るようになっていますが、トイレットペーパーと消毒薬は未だに大抵の店で1人1点の制限付きです。マスクは元々使う習慣がなかったので、問題外でした。ただ観光客が多いマルクト広場近くのスワン薬局はすでに2月上旬に英語と中国語で「マスクはもうありません」と書いた紙がドアに貼ってありました。

 

バーデン・ヴュルテンベルク州の条例の要旨と、それがもたらした状況の一部を紹介しました。最初、頻繁に内容が変更(強化)されていき、昨日開いていた店が今日は閉まっていたり、一緒に行動していい人数が減ったりで市民は戸惑いましたが、ほぼ4週間を経て、非日常が日常化しています。ここまで長い道のりでした。先が長くならないことを祈ります。

 

 

ドイツ薬事博物館の現状

 

最後にドイツ薬事博物館の現状ですが、ハイデルベルク城内に置かれているため、バーデン・ヴュルテンベルク州が城を開場しない限り開館できません。来館をプランされる方は薬事博物館のホームページでご確認ください。

 

薬事博物館では昨年6月、長い間の念願であった歴史的薬草園をオープンし、ガイドツアーを始めました。400年以上前にハイデルベルクの宮廷薬剤師が作った薬草園の植物目録を基にした植栽で、様々な薬用植物が当時どのように理解され、処方されたかをガイドが説明します。薬草園の情報は、まもなくドイツ薬事博物館のホームページの日本語ページでご覧いただくことができます。また2018年に第9室の展示の変更がありました。過去に薬事博物館をご覧になられた方の再訪のきっかけになればと思います。その紹介も含めて、今まで必要最低限だった日本語ページは、これから内容を拡充する予定です。順にアップロードしていきますので、是非お立ち寄りください。

https://www.deutsches-apotheken-museum.de/jp/

 

 

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